2019年11月3日

2019年11月3日                  「天子のように輝いた顔」                    使徒言行録6章8~15節

「最高法院の席についていた者は皆、ステファノに注目したが、その顔はさながら天使の顔のように見えた。」(6:15)
 私も、半世紀以上生きてきました。厚生労働省(2019年7月30日発表)による日本人の平均寿命は、女性87,32歳。男性81,25歳です。あと21年余り・・自分はどんな死に方をするのだろうと考えることがあります。「わたしにはまだ死ぬという仕事がある」晩年、パーキンソン病を患っていた作家・三浦綾子は、こう言ったそうです。ステファノと議論した人々は、奴隷の身分から解放された自由人やその子孫、また外国出身のユダヤ人のことです。彼らは自分たちの「負け」を素直に認めることが出来ず、世論や権力者たちを先導してステファノを捕らえさせ、最高法院に訴えたのです。理由はでっち上げで「あのナザレの人イエスは、この場所を破壊し、モーセが我々に伝えた慣習を変えるだろう。」・・すなわち神殿(聖所)と律法に逆らうことで、ユダヤでは死罪に当たることでした。正義もへったくりもありません。理不尽極まりないことです。普通であれば悔しくて、悔しくて溜らなくなるでしょう。しかし、ステファノは死を前にしながら、その顔は喜びに満ちて天子のように輝いていたのです。常識では考えられないことですが、事実です。そして「二十六聖人」と呼ばれるこの日本で初めての殉教者たちの死もまた喜びに満ちたものだったようです。そして主は私たちにも、この理不尽な死によっても変わることのない喜びを与えようとして下さっているのです。

2019年11月03日